こんにちは。
アルデブランデンタルクリニック神戸三宮院の院長 釜口です。
矯正治療を行うにあたって、痛みに関して不安を持たれている方も多いのではないのでしょうか?
今回は矯正中の痛みについて、ご説明させて頂きます。
矯正中の痛みについては大きく分けて3つございます。
図のように歯は歯槽骨と呼ばれる骨に支えられており、歯と骨の間には歯根膜と呼ばれる血管や繊維に富んだコラーゲン性の組織があります。
歯根膜には、主に歯にかかる衝撃を和らげるクッションの役割がありますが、歯を動かす過程でも大きな役割を果たしています。
歯に矯正力をかけ、歯に力を加えると、歯根膜が圧迫される側と歯根膜が引っ張られる側が出来ます。
歯根膜には恒常性という元に戻ろうとする性質があるため、圧迫された側の歯根膜が元に戻ろうとする時に、骨を溶かす細胞(破骨細胞)が出現し、骨を溶かします。
反対に引っ張られた側には骨を作る細胞(骨芽細胞)が出現し、骨を作っていきます。
これを繰り返す事によって、歯は移動していきます。
これが矯正治療で歯が動くメカニズムです。
この圧迫される側の歯根膜の中に存在する血管が圧迫されることで血流障害が起こり、
プロスタグランジンやブラジキニンなどの炎症メディエーターという炎症に関連した化学物質が出現します。
プロスタグランジンの作用によって「痛み、熱、腫れ」などの症状が引き起こされます。
これを炎症と呼びます。
ブラジキニンは神経を興奮させることにより痛みを発生させます。
プロスタグランジンはブラジキニンの作用を強める性質があり、
ブラジキニンはプロスタグランジンをより多く作ろうとする性質があることで炎症や発痛の度合いが強くなる仕組みとなります。
このように、矯正治療で歯を動かす時には炎症反応が起こり、それに伴い痛みが生じます。
痛みは矯正処置後4~6時間ほどで始まり、翌日、翌々日がピークになります。
その後、徐々に痛みは減り、1週間もすれば収まります。
痛みの感じ方は人それぞれですが、矯正治療ではほとんどの人がこうした痛みを感じます。
現在は矯正治療の器具や材料も進化しており、痛みの程度も以前に比べると小さくなっています。
ワイヤーとブラケットを用いた矯正装置の場合、装着した矯正器具の一部が口の内側や舌に接触し、口内炎が出来て痛みを感じることもあります。
特にスポーツで歯にボールが強く当たったり歯を強く食いしばったり、金管楽器演奏で口の中全体を使って振動させたりする場合は、矯正装置が口に当たり口内炎になってしまう可能性があります。
歯が動くことで矯正装置が動いたり、激しい運動で矯正装置がずれてしまったりする場合もございますので、違和感を覚えたらすぐに矯正歯科で処置を受けることをお勧めいたします。
ワイヤーを交換したり、新しいマウスピースに交換した後、歯が動くことによる痛みを感じている間は、食事の際にも痛みを感じることがあります。
とくに硬いものは、痛くて噛めないこともあるかもしれません。
痛みが治まるまでの数日間は、やわらかいお食事から始められるのがおすすめです。
神戸三宮の矯正歯科・審美歯科
アルデブランデンタルクリニック神戸三宮院
院長 釜口 歯科医師