歯並びの良し悪しには『遺伝』が関係あるって本当なの？

こんにちは。
アルデブランデンタルクリニック神戸三宮院の院長釜口です。

歯並びの良し悪しは、見た目の審美性や、食べ物を嚙む時の機能性において、非常に重要な要素になります。歯並びが悪いと、見た目に自信が持てないだけでなく、食べ物を噛みづらくなったり、口腔内環境が悪化したりすることもあります。

では、歯並びはどうして悪くなるのでしょうか？
歯並びの良し悪しを理解するためには、いくつかの要因を考慮しなければなりません。その中でも、特に重要な要因の一つが「遺伝」です。

歯並びは遺伝的な要素が影響しているとよく聞きますが本当なのでしょうか？
そして、遺伝はどのように歯並びに関係しているのでしょうか？今回の記事では、歯並びと遺伝の関係について詳しく解説させて頂きます。

まず初めに、遺伝がどのように歯並びに影響を与えるかを解説させて頂きます。歯並びが遺伝に関係している主な要素には、以下のようなものが考えられます。

歯の形や大きさは、遺伝によって決まります。親から受け継いだ遺伝子が影響を与え、歯が大きい、または小さいといった特徴が現れます。
例えば、歯が小さすぎると歯と歯の間に隙間ができやすく、逆にすき間が広すぎると歯が並びきれず、歯並びが乱れやすくなります。

歯並びに大きな影響を与えるのは、歯そのものの大きさだけではありません。顎の大きさや形状も遺伝的に決まります。
顎が小さいと歯が並びきれず、歯並びが悪くなりやすくなります。逆に、顎が大きい場合は歯がうまく並びやすい傾向にあります。

噛み合わせ（咬合）は、上下の歯がどのように噛み合うかを指します。この噛み合わせの特徴も遺伝的な要素に影響を受けます。
たとえば、親が出っ歯や受け口であった場合、子供も同じような噛み合わせを持つ可能性が高くなります。

歯並びが遺伝によって決まる部分も多いのですが、それだけでは歯並びの良し悪しが決まるわけではありません。
環境的な要因や生活習慣も大きな影響を与えることがあります。ここでは、遺伝以外の主な要因についても触れておきましょう。

乳歯から永久歯に生え変わる過程で、歯並びに影響を与えることは多々あります。
例えば、乳歯が早く抜けてしまったり、逆に抜けるのが遅かったりすると、永久歯が生えるタイミングにズレが生じ、歯並びに問題が起こることがあります。

口呼吸や舌の位置の癖も歯並びに影響を与えることがあります。口を開けたまま呼吸をしている悪癖があると、顎の発育が正常に進まず、歯並びが悪くなる可能性があります。
また、舌が上手く位置しない場合も歯並びに影響を与えます。

食事で固いものをよく噛む習慣があると、顎の発達が促進され、歯並びが整いやすくなります。
逆に、柔らかい食べ物ばかり食べていると、顎の発達が不足し、歯がきれいに並ぶためのスペースが足りなくなることがあります。

実際に、親の歯並びがどの程度子供に影響を与えるかという点については、さまざまな研究が行われています。遺伝的要素が強く影響を与える部分もありますが、完全に親と同じ歯並びになるわけではありません。

子供は親から複数の遺伝子を受け継ぎますが、その結果、歯並びが親とは異なる場合も多いのです。
例えば、父親が出っ歯で、母親の歯並びが良い場合、子供がどちらかの特徴を受け継ぐ可能性があります。

しかし、親からの遺伝だけでなく、前述のように生活習慣や環境要因も影響するため、歯並びが悪くなる原因は遺伝だけにとどまらないことも理解することが大切です。

遺伝によって歯並びが悪くなることが分かっていても、遺伝の影響を完全に避けることはできません。しかし、歯並びを子供の頃から改善したり、悪癖を予防したり、悪化を防ぐためにできることは多々あります。

歯科治療や矯正治療を受けることがその一例です。
現代では、子供の歯並びが悪いことに気づいた段階で、早期に矯正治療を開始することが推奨されています。

そして、正しい口内習慣を身につけることもとても重要です。
口呼吸を避けるために鼻呼吸を意識する、舌の位置を正しく保つこと、噛む力を高めるためにバランスの取れた食事を摂ることが、歯並びを改善するための一助になります。

歯並びには遺伝的な要素が関係していることは確かですが、それが全てではありません。
しかし、親から受け継いだ遺伝子が、歯の大きさ、顎の形、噛み合わせなどに影響を与える可能性はあり、歯並びが悪くなる原因にはなります。

歯並びの良し悪しを決定づける要因は遺伝だけではなく、生活習慣や環境的な要素も大きな役割を果たします。
そのため、遺伝的に歯並びに問題があったとしても、適切なケアを行い、早期に治療を受けることで改善することは可能です。

歯並びの悪さが気になる場合は、早めに歯科医院に相談し、適切な治療や予防対策を取ることが大切です。
日々の生活で、歯並びに対して意識してみましょう。そうすることで、歯並びの悪いことによるコンプレックスを早期に解消でき、口腔内の環境を将来的にも良好に保つことができます。

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歯科医師　釜口尚弘