矯正治療が保険適用外なのはなぜ？保険適用されるケースとは？

こんにちは。
アルデブランデンタルクリニック神戸三宮院の院長釜口です。

歯並びを綺麗にしたいと検討している人にとって、矯正治療・歯列矯正の大きなハードルになっているのが矯正治療に掛かる費用面だと思われます。

しかし、現時点（2024年8月時点）で矯正治療はほとんどの場合、自由診療（自費治療）になっており、患者さまの10割負担での治療になり健康保険は適用されません。

矯正治療が保険適用になって欲しいというのは、歯並びにお悩みがある多くの方が願っている事だと思いますが、なぜ矯正治療は保険適用されないのでしょうか？
今回の記事では、矯正治療が保険適用されない理由と、保険適用される矯正治療のケースについて解説させて頂きます。

歯科治療の中でも保険適用される治療と、保険適用外の治療があります。代表的な歯科治療でいうと、虫歯や歯周病の治療は保険が適用されます。
ホワイトニングやジルコニア等を使用した審美歯科、インプラントは保険適用外となります。

何が異なるのかというと、分かりやすく説明すると、目的が「治療」なのか、「予防・審美」目的なのかによって分類されています。

矯正治療で歯並びを綺麗にする事は、現時点では予防・審美目的とされており、見た目の改善という審美的な目的があると判断され、残念ながら保険適用外となっています。

しかし最近では、子どもの歯並びの悪さが将来的に虫歯や歯周病など二次的な疾患を招く恐れがあることから、歯並びを改善する矯正治療・歯列矯正も保険適用とするよう、全国各地で署名活動が行われているのが現状です。

前述したように、ほとんどの場合、矯正治療・歯列矯正は保険適用外の治療になりますが、ごく僅かな場合に限り、保険適用が認められているケースもあります。

生まれたときから疾患による噛み合わせの異常がある、先天性の噛み合わせ異常がある場合には矯正治療が保険適用されます。
該当する疾患は複数あります。

・唇顎口蓋裂
・ゴールデンハー症候群（鰓弓異常症を含む）
・鎖骨頭蓋骨異形成
・トリーチャ・コリンズ症候群
・ピエール・ロバン症候群
・ダウン症候群
・その他顎・口腔の先天異常

など、61項目（出典元：公益社団法人日本矯正歯科学会）になります。

顎変形症（がくへんけいしょう）は、顎の骨が上下で大きなずれを生じている、骨格が原因で顔の左右が非対称になるなどして、噛み合わせが悪くなる不正咬合が起こる病気です。
多くの場合、顎が成長するとともに、不正咬合の症状が出始めます。

顎変形症の治療として矯正治療をする場合、保険が適用されるには、いくつか条件があります。
指定されている医療機関で、顎変形症の診断を受けること、矯正治療と併用して、顎の骨を切るといった手術をする外科的矯正術を受けた場合に保険適用になります。

ほとんどのお子さまは、6歳ごろから永久歯が生え始め、12歳ごろまでに永久歯が生え揃います。
しかし、稀にいつまで経っても永久歯が生えてこないケースもあり、この症状を永久歯萌出不全と言います。

矯正治療が保険適用されるケースは、前歯の永久歯が3歯以上生えてこない永久歯萌出不全で、歯茎を切開して歯を引き出す埋伏歯開窓術という手術を行い、あわせて矯正をする場合、矯正の治療費が保険適用になります。

前述した保険適用されるケースは稀で、ほとんどの方は保険適用外で矯正治療を実施することになります。
しかし、矯正治療は本当に審美目的の治療なのでしょうか？

不正咬合の症状は様々な二次的疾患の要因になると、最近の研究では分かってきています。
例を出すと、日本人が歯を失う原因で1番多い歯周病は、歯並びが悪い事が要因となり、症状が生まれやすく進行が加速するとされています。

歯周病は心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、糖尿病などの全身疾患の原因になるとされています。
糖尿病に罹患している方の多くは、歯周病・歯肉炎に罹患していると疫学調査が複数報告されています。

このような事から、将来的に矯正治療が保険適用になる可能性は低くないと考えられています。
子供の頃から歯並びを改善する事で、将来的に歯の疾患だけでなく、多くの全身疾患の予防に繋がると考えられているからです。

矯正治療をお考えの方には、歯並びがコンプレックスで改善したいとお考えの方が多いとは思いますが、矯正治療には歯並びを整える以外に多くのメリットがあります。
日々の口腔ケアが効果的なものになり、清潔な口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。

現時点では、矯正治療・歯列矯正は保険適用外になりますが、将来的に保険が適用されるのも、そう遠くないかもしれません。
なぜなら歯並びの改善は、審美性以外にも多くの恩恵があるからです。

また、矯正治療の費用がネックになっている方には、院内独自の分割支払いや、デンタルローン、医療費控除の制度などを上手に活用し、費用負担を軽減しながら治療をする事も良い方法だと思います。

矯正治療・歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひ当院で実施しております「矯正無料相談」にご来院ください。
治療内容はもちろん、治療費用のお支払い方法など、ご不明点を分かりやすくお伝えさせて頂きます。お気軽にご相談ください。

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歯科医師　釜口尚弘